協働ロボット vs 産業用ロボット:自社の現場にはどちらが合うのか?

「ロボットを入れたいが、安全柵を設置するスペースがない」「人と同じエリアで作業させたい」——こうした相談が増えるなか、近年注目を集めているのが協働ロボット(コボット)です。

一方で、「協働ロボットは動作が遅い」「重いものは持てない」という特性もあり、すべての現場に適しているわけではありません。従来の産業用ロボットと協働ロボット、どちらが自社の現場に合うのかを正しく判断するためには、両者の違いを正確に理解することが必要です。

本記事では、2種類のロボットの特徴を比較整理し、現場の条件に応じた選び方の判断軸を提供します。

1. 協働ロボットと産業用ロボットの基本的な違い

まず、両者の定義を整理します。

産業用ロボット

労働安全衛生規則に基づき、原則として安全柵(または安全装置)で人と作業エリアを分離して使用するロボット。高速・高精度・高可搬質量の機種が多く、大量生産ラインや危険作業の自動化に適しています。

協働ロボット(コボット)

人と同じ作業エリアで協働することを前提に設計されたロボット。リスクアセスメントに基づく適切な安全対策を講じることで、安全柵なしでの使用が認められる場合があります。力覚センサーなどにより、人への接触を検知して停止する機能を持つ機種が多くあります。

【コラム】食品工場へのロボット活用が広がった背景

かつて産業用ロボットは、溶接・熱処理・塗装など過酷な環境での使用を前提に設計されており、粉塵や油が発生するのが当然でした。そのため「人の口に入るものを扱う食品工場でロボットを使ってよいのか」という懸念が長くあり、ロボットメーカー自身も食品業界への参入を慎重に判断していました。

転機となったのは、自動車メーカーのクリーンルーム対応ニーズへの対応でした。防塵・防滴仕様のロボットが開発され、粉塵や液体が侵入しにくい構造が実現すると、食品・医薬品業界でも安心して使えるロボットが急速に普及していきました。今では食品ラインのピッキング・パレタイジング・中間搬送など、幅広い工程でロボットが活躍しています。「どのタイプのロボットが食品工場に使えるか」は、業種ごとの環境・衛生要件を把握している商社への相談が近道です。

2. 協働ロボット vs 産業用ロボット ー 7項目比較

両者の主な違いを、導入時に重要な7項目で比較します。

※可搬質量・コスト等の数値は機種・仕様によって大きく異なります。あくまで傾向の目安としてご参照ください。

比較項目協働ロボット(コボット)産業用ロボット
安全柵原則不要 (リスクアセスメントに基づき判断)原則必要 (労働安全衛生規則による)
最大可搬質量の目安数kg〜30kg程度 (機種による)数kg〜数百kg以上 (幅広い機種を選択可能)
動作速度比較的低速 (人との協働を前提とした設計)高速動作が可能 (生産性重視の設計)
設置スペースコンパクト (省スペース設置が可能)安全柵含めると広いスペースが必要
ティーチングの容易さ直感的な操作で教示しやすい機種が多い専門知識が必要なケースが多い
導入コストの目安比較的低コストから始められる (機種・仕様による)安全柵・周辺設備含めると総費用が高くなりやすい
向いている用途人と同一エリアでの作業・ 多品種少量・頻繁な段取り替え高速・高精度・重量物・ 大量生産ライン

協働ロボットの最大の特徴は「安全柵が原則不要」である点ですが、これは「何も対策しなくてよい」という意味ではありません。導入にあたってはリスクアセスメントの実施が必要であり、作業内容・速度・力の大きさによっては追加の安全措置が求められる場合があります。

3. 安全柵に関する法令上の考え方

産業用ロボットの使用にあたっては、労働安全衛生規則により、原則として安全柵や安全プラグなどによって人とロボットの作業エリアを分離することが義務付けられています。

協働ロボットの場合は、国際規格(ISO 10218・TS 15066等)および国内のガイドラインに基づくリスクアセスメントを実施し、適切な安全対策を講じることで、安全柵なしでの使用が認められる場合があります。ただし、適用条件は作業内容・速度・力・作業者との距離などによって異なります。

4. どちらを選ぶ?現場の条件による判断軸

「協働か産業用か」の選択は、現場の条件によって決まります。以下の判断軸を参考に、自社の状況と照らし合わせてみてください。

協働ロボットが向いているケース

設置スペースが限られており、安全柵を設置しにくい
人と同じエリアで作業させたい(検査補助、組み立て補助など)
多品種少量生産で段取り替えが頻繁に発生する
ロボット導入が初めてで、まずスモールスタートで始めたい
現場スタッフ自身がティーチングを行いたい

産業用ロボットが向いているケース

可搬質量が大きい(重量物の搬送・パレタイジングなど)
高速・高精度な動作が求められる大量生産ライン
安全柵の設置スペースを確保できる
稼働率・サイクルタイムを最大化したい
溶接・塗装・プレスなど、人が近づきにくい危険作業の自動化

どちらが「優れている」ということではなく、現場の課題・生産条件・スペース・予算に応じて最適解は変わります。また、ライン全体で考えると「一部の工程に協働ロボット、別の工程に産業用ロボット」という組み合わせが最適なケースもあります。

5. 京二が取り扱う代表的な機種

京二では、複数のメーカーから協働ロボット・産業用ロボットを取り扱っています。代表的な機種の特徴を紹介します。

協働ロボット

FANUC CRXシリーズ:直感的なタブレット操作でティーチングが可能。専門知識が少ない現場スタッフでも扱いやすい設計。多品種少量生産や段取り替えが多い現場に適しています。

安川電機 HC30PLシリーズ:可搬質量30kgクラスの協働ロボット。比較的重い部品の協働作業にも対応できます。

不二越 MZSシリーズ:スリムなアーム形状でコンパクト設置が可能。省スペース環境での協働作業に適しています。

産業用ロボット

不二越 MZ-Fシリーズ:食品・医薬品など衛生管理が求められる環境向けの防塵・防滴仕様。ピッキング・パレタイジング工程に実績があります。

FANUC・安川電機 各種6軸垂直多関節ロボット:溶接・搬送・組み立てなど幅広い用途に対応。可搬質量・リーチに応じた豊富な機種ラインナップがあります。

【なぜ商社への相談が機種選定の近道なのか】

ロボット本体のスペックは、メーカーをまたいでほぼ同水準になっています。そのため「どのメーカーのロボットを選ぶか」よりも、「そのロボットをどう現場に組み込むか」というシステム設計の質が、導入の成否を左右します。特定のメーカーに縛られず複数社を中立的に比較・提案できる商社は、用途・環境・予算に合わせた最適な機種の組み合わせを提案できる立場にあります。また、お客様によっては「既存設備との統一性からFANUC一本にしたい」「保守の観点からYASKAWAに揃えたい」といったご希望もあり、その場合も含めてトータルで対応できるのが商社の強みです。

まとめ:協働ロボット vs 産業用ロボット 選び方のポイント

協働ロボットは「安全柵が原則不要・省スペース・直感的操作」が強み。産業用ロボットは「高速・高精度・高可搬質量」が強み
「どちらが優れている」ではなく、現場の課題・生産条件・スペース・予算に応じて最適解は変わる
協働ロボットでも「安全柵が不要」は無条件ではなく、リスクアセスメントに基づく安全対策の実施が必要
ライン全体で「協働ロボット+産業用ロボット」を組み合わせることが最適なケースもある
複数メーカーを中立的に比較・提案できる商社への相談が、適切な機種選定の近道

よくある質問(FAQ)

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